(準リアルタイム 版)

--->戻る

 モデルについて
 本データベース本体には作物気象データの他に、「物理環境モデル」と「生育モデル」が組み込まれていて、水稲の稔実や登熟に影響を及ぼす水田水温(日別値) や出穂・開花期における穂温(時別値)、主要品種の生育状況など を推定することができます。これらのモデルは、実測データに基づ く詳細な検証がなされています。

 モデルの概要
生育モデル
日々の日平均気温と水田水温をベースにして、国内の主要15品種における出穂日(開花日)を予測することができます。また葉面積指数LAI(単位土地面積あたりの葉面積)の推移に関して、出穂日のLAIの値を仮定した簡易モデルによって評価されます。複数品種に対する出穂日予測に関しては試験的に導入したモデルであり、利用者からの要望や今後の検証などを参考にして、改良を進める予定です。その点については、どうかご留意ください。
参考文献
Nakagawa, H., Yamagishi, J., Miyamoto, N., Motoyama, M., Yano, M., and Nemoto, K., (2005) Flowering response of rice to photoperiod and temperature: a QTL analysis using a phenological model. Theor. Appl. Genet., 110, 778-786.
水田水温モデル
日々の気象条件と葉面積指数LAIにもとづいて、水田水温(日平均)の推移を予測することができます。日別データベースに収納されている裸水面(LAI=0)の平衡水温に、葉面積指数LAIと気象条件(風速、日射量)に依存した補正値を加えることによって、日々の水田水温を評価します。
参考文献
桑形恒男,濱嵜孝弘 (2001) 水稲生育の広域監視に利用可能な日平均水田水温の推定モデル,農業研究センター,総合農業の新技術,第14号,196-199.
Kuwagata T., Hamasaki H., and Watanabe T. (2008) Modeling water temperature in a rice paddy for agro-environmental research, Agric. Forest Meteorol., 148, 1754-1766.
穂温モデル
熱収支の原理に基づいて、水稲群落における穂温の日変化が評価できます。群落内の温湿度や、葉温と水温の日変化も同時に計算されます。モデル計算においては気象官署における、気温、湿度、風速、日射量の時別値を入力データとして使用します。 穂温モデルの計算は、気象官署(特別地域気象観測所などを含む)を兼ねているアメダス地点についてのみ実施され、それ以外のアメダス地点では実施されないので注意が必要です。
参考文献
Yoshimoto, M. , Oue, H., and Kobayashi, K. (2005) Energy balance and water use efficiency of rice canopies under free-air CO2 enrichment. Agric. For. Meteorol. 133, 226-246.
Yoshimoto, M. , Oue, H., Takahashi, N., and Kobayashi, K. (2005) The effects of FACE (Free-Air CO2 Enrichment) on temperatures and transpiration of rice panicles at flowering stage. J. Agric. Meteorol., 60(5), 597-600.
Yoshimoto, M., Fukuoka M., Hasegawa T., Utsumi M., Ishigooka Y., and Tuwagata T. (2011) Integrated micrometeorology model for panicle and canopy temperature (IM2PACT) for rice heat stress studies under climate change, J. Agr. Meteorol., 67, 233-247.
                               
モデル入出力データの説明
要素 記号単位内容備考
生育モデル
(入力データ)
平均気温T(℃)日平均値
水温(LAI=0)Tw0(℃)熱収支モデルで計算された裸水面(LAI=0)の平衡水温
田植え時のイネの大きさ(稚苗/中苗/成苗)のいずれか
"出穂日の葉面積指数LAImax単位土地面積あたりの葉面積
(出力データ)
発育指数DVI幼穂形成日に1、出穂日に2、登熟日に3となる(モデルによる推定値)
出穂日の葉面積指数LAI(℃)単位土地面積あたりの葉面積(モデルによる推定値)
 
水田水温モデル
(入力データ)
水温(LAI=0)Tw0(℃)熱収支モデルで計算された裸水面(LAI=0)の平衡水温(日平均値)
水温(LAI=∞)Tw∞(℃)熱収支モデルで計算された裸水面(LAI=∞)の平衡水温(日平均値)
風速(高度2.5m)u(m/s)日平均風速を高度2.5mに補正した値風速計高度と周辺土地利用が考慮されている。また日平均風速の算定方法は年代によって異なる
日射量Sd日平均値
葉面積指数LAI(℃)単位土地面積あたりの葉面積(簡易モデルによる推定値)生育モデルによる結果を使用。
(出力データ)
水田水温Tw(℃)熱収支モデルで計算されたイネ群落内の平衡水温
 
穂温モデル
(入力データ)
葉面積指数LAI単位土地面積あたりの葉面積 生育モデルによる結果(出穂日における値)を使用。
日射量Ld(Wm-2)1時間平均値
下向き長波放射量Ld(Wm-2)1時間平均値
風速高度2.5mu(m/s)10分平均風速を高度2.5mに補正した値風速計高度と周辺土地利用が考慮されている。また日平均風速の算定方法は年代によって異なる。
気圧P(hPa)時別値
気温T(℃)時別値
相対湿度RH(%)時別値
(出力データ)
群落内気温Tc(℃)熱収支モデルで計算されたイネ群落内の気温
群落内相対湿度RHc(%)熱収支モデルで計算されたイネ群落内の相対湿度
水田水温Tw(℃)熱収支モデルで計算されたイネ群落内の水温
葉温TL(℃)熱収支モデルで計算された葉温
穂温Tp(℃)熱収支モデルで計算された穂温
穂蒸散量lEp(Wm-2)熱収支モデルで計算された穂蒸散量 単位表面積(片面)あたりの、蒸散に伴う潜熱フラックスを単位とする。
(注1)穂温モデルにおける群落の高度は0.9mとする。
(注2)水温モデルと穂温モデルによる計算は、生育モデルと連動して実施される。また、出穂日(開花日)を指定した場合の計算も可能である。
ユーザが設定するパラメータ
(入力必須パラメータ)
・イネの品種(表から選択)
・地域・アメダス地点(表から選択)
・田植え日
また、ユーザが以下の設定パラメータを変更することもできる。
*田植え時のイネの大きさ(稚苗/中苗/成苗)
*出穂日の葉面積指数
 

Version 2.02
個人情報保護方針 |  ウェブサイトポリシー |  お問い合わせ
 
Copyright (C) 2009-2017 National Agriculture and Food Research Organization. All Rights Reserved